うさぎなかまがたくさんよりあっまって野原で遊んでおりました。
もうお日さまが
その時なかまのひとりが、
「オイ、あれをごらんよ。」
といいました。見ると、すぐむこうの
「それ
と、声よりも早くかけ出しました。みんなむちゅうで逃げて来て、ようようささやぶのかげでひとかたまりになりました。
「だれかやられはしないか。」
と、うさぎたちはぶるぶるふるえながら顔を見合わせました。そして、ヒィ、フウ、ミイと、つぎつぎに数えてみますと、ひとり数がたりません。
「やられたのはだれだ?」
「トム公だ。」
「そうだ。トム公だ。」
うさぎたちは悲しそうにさけびました。トム公というのはまだ小うさぎで、このごろ病気にかかっていますので、みなのように走ることのできないうさぎです。
「かわいそうなことをしたなあ。」
「なぜおいらは逃げて来たんだろう。」
「でも
「ああどうしたらよかろう。」
うさぎたちはとほうにくれてしまいました。みんなおくびょうではありますが、心のすなおな友だち思いのなかまです。このトム公を
草の中へはいかくれるようにして、おそるおそる見すかしますと、ちょうどお月さまが東の空へあらわれましたので、むこうの岡がはっきりと
「オイ、いるよいるよ。」
「トム公が猟師めをふまえているぞ。」
「へんだな。いったいどうしたんだろう。」
うさぎたちはヒソヒソささやきあいました。岡の上には、さっきの猟師が同じようにねらいうちのかまえではいつくばっている。トム公はその
小うさぎ――病気でかけることさえできない小うさぎが、猟師をとりおさえたなどということが何百万年この方うさぎの
「オーィ、トム公。」
うさぎたちは声をそろえて呼びかけました。
トム公は、こちらをふりかえって、
「ヤア、みんなこっちへ来な。」とうれしそうにいいました。
「行ってもだいじょうぶか。」
「だいじょうぶとも、早く来な。」
「でも鉄砲がこっちへ向いているぜ。」
するとトム公は、
「なに、こんなもの。」
といいながらポンと足げにしてしまいました。うさぎたちは、
「ワァー」 と、ときの声をあげて岡の上へかけあがりました。
おくびょうなうさぎたちは大きなまちがいをしていたのです。猟師と思ったのは人の形をした岩で、鉄砲は
その時トム公は岩の上からとびおりて、
「みんなよく来てくれた。