ある山おくに千びきのさるが住んでいました。そのうち一ぴきのさるには
しかしおたがいにみにくいとも、はずかしいとも思わず、かえって鼻のある一ぴきのさるが、みなからかたわあつかいにされていました。
「おまえは先の世で重い
などとあざけられて、何をするにも、ほかのさるたちから仲間はずしにされていました。鼻のあるさるは、たしかに自分ひとりだけがちがった顔なのですから、まったく、かたわの生まれだと思い、自分の
やがてある年のこと、このさるたちの住んでいる山を、神さまがお通りになるということで、九百九十九ひきの鼻かけざるは、みな集まって相談をはじめました。
「あれをどうしたものだろう。」
「みにくい顔がお目にとまって、おしかりを受けるようなことはあるまいか。」
「神さまのお通りになる日には、あれは
「あれ」というのは、一ぴきの鼻のあるさるをさしているのであります。鼻のあるさるはたいそう悲しみまして、かたわに生まれついた自分はせめて罪ほろぼしに、神さまのお顔を一目なりおがみたいものと、泣くなく鼻かけざるたちにたのみました。それで岩屋へおしこめられることは、ようやくゆるされました。
そのうちに神さまのお通りになる日が来ました。神さまは雲に
「みんなかたわだぜ。みっともないね。」
それは、お供衆の顔に鼻が見えたからであります。ところがいよいよ神さまが前をお通りになるのを見ますと、お供衆よりもいっそう高い鼻がおがまれました。さるたちはみな
「よくもかたわがそろったものじゃな。」
とお笑いになりました。九百九十九ひきのさるたちははずかしさにまっかになって顔をふせました。すると、いちばん下の枝からあおむいている一ぴきの鼻のあるさると顔がむきあいました。神さまとくらべたらずいぶん低いあわれな鼻ですが、鼻は鼻にちがいありません。今までかたわとおとしめていたのが、じつはまったきさるであったことが、その時はじめてわかりました。鼻かけざるたちはキャンキャンなきさけびながら木からかけおりて、鼻のあるさるの足もとへ
この日から鼻のあるさるは、今までの