庭の
雪だるまは、大きな声で、
「なんと美しい世界だろう。みな白がねの光にかがやきわたっている。どこを見ても、黒いものや
そして
「一体、君は何ものだ。アホーアホーとは
黒い鳥は、黒い目をピカピカさせながら、
「
「なるほど君は鴉の
「僕のからだが汚いって? これでも君よりはよほどりっぱだぜ。
「僕はその黒い色が気に入らないのだ。見渡したところ、この広い世界で黒い色をしているのは君ばかりだ。」
「アハヽヽ。君は何も知らないと見えるね。この世界は、もともと黒いものだぜ、地べたも山も黒い色をしているのだ。」
「イヤ、そんなことはない。僕の目で見れば、地べたも山もみな真白だ。黒い色はどこにも見えない。」
「それは、今の中は白いさ。しかし、白いのは
「でも僕は今まで、黒いものといえば君より外、何も見たことがないぜ。」
「それはそうだろう。君は今朝生まれたのだから。しかし、君の生まれぬ先には、この世界はみな黒かったのだよ。」
「イヤイヤ僕にはそんなことは信じられぬ。」
こういって、雪だるまと鴉はしばらくいい
その中に、お日さまがポカポカ照らしてきましたので、雪だるまは、いい気持ちになって一ねむりしました。やがて気がついてみると、
その時には庭の雪も大方溶けてしまって、黒い土が、ありあり見えてきました。しかし目をなくした雪だるまは、それを知るはずがありません。やはりこの世界は、白いのだと思っていました。
そこへ
「雪だるま君、どうだ、僕のいうた通り世界が黒くなって来たぜ。」と鴉はいいました。
しかし雪だるまは
「イヤイヤ僕には黒いものなど見えやしないぜ。」といいました。
鴉は、フト雪だるまの顔をのぞいて見て、目が二つとも溶けてしまったのを知りましたので、もうそれきり口を
その中に、雪だるまのからだはだんだん溶けて、首、胸、