庭に一つの蝸牛が住んでいました。ある朝のこと目をさまして、ほそい
「蝸牛さん。
蝸牛はこれまで、こわい目にあった事がないので、自分の
「僕はわきへよるのはいやだ。お前は
そこで露はぽつんと、蝸牛の角の上へとび下りました。蝸牛は思わず、
「あいたた!」とうめきました。そしてあわてて角を引きこめてしまいました。
「それ、ごらんなさい。わきへよらなかった
蝸牛は自分の角がたいそう
しばらく立つと、木の葉が呼びかけました。
「君少しわきへよってくれたまえ。とび下りるのだから。」
蝸牛は急いで角を引きこめました。そして、
「勝手にとび下りたまえ。」と言いました。
そこで木の葉は、ばらばらととび下りて、先のとがった方で、蝸牛の身体をチクリとさしました。蝸牛は、
「いたい。いたい。」と言って
蝸牛は自分の身体は、角と同じように弱いものである事を知りました。これからは気をつけようと思いました。
ところへ今度は、大きな桃の実が声をかけました。
「蝸牛君。そこをのいて下さい。とび下りますよ。」
蝸牛は殻の中へ体を引きこめて、これなら安心と思いまして、
「さあさあとび下りたまえ。僕がいたとてかまわぬから。」
これを聞いて大きな桃が、一息にとび下りたからたまりません。蝸牛は殻も身体も角もいっしょにつぶされてしまいました。
蝸牛は