ある晩のこと、狐がやってきて、トントンと、樫の木の根もとを、
「啄木鳥さんちょっと下りておいで。いい話があるから。」
と
啄木鳥は答えて、
「狐さん。わたしは、大事な大事なヒナを三つ
といいました。
「そんなら、一つのヒナっ子を、なげてよこしな。わしがかじ屋にしこんでやるから。」
と狐が云いました。啄木鳥は、一つの雛を投げてやりますと、狐は、あかい
そのつぎの晩、狐はまた、樫の木の根もとへやってきました。トントンと尻尾でたたいて、
「啄木鳥さん、ちょっと下りておいで。いい話があるから。」
といいました。
「狐さん、わたしは、大事な大事な雛を、二つ抱いていますよ。」
と啄木鳥が答えました。
「そんなら、その雛っ子を一つなげてよこしな。
と狐が云いました。啄木鳥は、雛を一つなげてやりました。狐はまたペロリ食べてしまいました。
その次の晩また狐はやって来て、樫の根もとをトントンとたたいて、
「啄木鳥さん、ちょっと下りておいで。いい話があるから。」
啄木鳥は、
「わたしは、大事な大事な雛を一つ抱いていますよ。」
と云いました。
「その雛つ子を、なげてよこしな。洋服屋にしこんでやるから。」
と狐が云いました。
啄木鳥は、一つのこった雛を、なげてやりますと、狐は、ペロリ食べてしまいました。
次の晩に、狐はまたのこのこやってきました。トントン尻尾で樫の木をたたいて、
「啄木鳥さん、ちょっと下りておいで。いい話があるから。」
と云いました。
啄木鳥は、
「狐さん、いったい、どんないい話があるのですか。」
と云って、木の上からパッととび下りました。狐は、
「ヤイ、
と云って、大口あいて笑いました。啄木鳥は、