野はらの小さな池に、一匹の亀が住んでいました。そこへ友だちの鶴がやって来ました。
「亀さん、こんなところにぐずぐずしているのはつまらないじゃないか。山のむこうには、この何十倍も大きな池がある。そして、君や
鶴は長いくちばしをふりふり云いました。亀は
「ありがとう。けれど僕は、君のように空をとぶことはできないし、歩くことだってへたなんだ。とてもそんな遠いところへは行けないだろう。」
と
「何、君さえ行く気なら、僕に
鶴はどこからくわえてきたのか、一すじの
「これが僕の
と
「それでどうするのだね。」
「まあ待っていたまえ。この縄の
「なるほど。しかし
「ちっとも危ないことなんかない。僕はこれでなかなか力は強い方だ。君を空から落っことすようなことはしないよ。」
「そうかね。では
「いいともいいとも。僕はそのつもりで今日はやって来たんだ。さあ、ここをしっかり
亀は短い首をさしのばして、縄のはしを銜えました。鶴は他のはしを銜えて、大きく羽ばたきをしました。見るみる亀のからだは地をはなれて、ぶらりぶらり
鶴はサッサと空をとびつづけました。この
鶴はますます飛びつづけて、山をこえ谷をわたり、やがてむこうに青々とたたえた池の水を見わたすことができました。
「あれ見たまえ。」
いきおいこんで云いますとたんに、くちばしの力がスッと
鶴はあわてて