西の空に、赤いうつくしい雲が、なびいていました。
二羽の小鳥が、たかい木の上にとまって、さえずっていました。
「行こうよ、あの雲のところへ。」
「あのうつくしい光のなかへ。」
そして、二羽の小鳥は、いっしょに、とびたちました。
西の空は、だんだん近づいてきました。小鳥の羽は、
そのとき、一羽の小鳥は、きゅうに、羽の力をうしないました。高い空から、ひとたまりもなく、地べたへ落ちてしまいました。
けれど、他の一羽の小鳥は、お友達のことには気がつきませんでした。ひとりでずんずんとんでいって、とうとう、雲の
雲のむこうには、ほとけさまが
小鳥は、はとけさまのお
「一たい、この方は、どなただろう。」
こういって、ふりむいた時、はじめて、お友達のすがたの見えないのに、気がつきました。
「ぼくは知っている。その方はね――」
と、お友達のこえがしました。
「あッ。君はそんなとこにいるのか、どうした。」
「ぼくは、
けれど、雲の上の小鳥は、地上におちたお友達のことに気がつくと、とうといお方のことも、なにも、かんがえているひまがありませんでした。お友達のたおれている、暗がりをめがけて、とんで行こうとしました。そのとき、
「おまちなさい。こちらをごらん。」
というほとけさまのこえがしました。
見ると、ほとけさまの
「君が、きずついたぼくを、すくおうとしてくれた慈悲のこころを、ほとけさまが知ってくださったのだ。羽なんぞ
地上は、もうまっくらになりました。けれど、雲の上の世界はいつまでも、きえることのないひかりにみちていました。二羽の小鳥は、ほとけさまの胸にいだかれて、黄金色の光の中に永く生きていました。