兄さんと妹と、二人の子どもが、お山の沼へ、あそびに行きました。二人は、手をつないで、仲よく
すると、沼の底に住んでいる水女が、ぬっと、うかんできて、二人の子どもをつかまえて、ずんずんひっぱりこんでしまいました。
「さあ、これから、わたしがおまえたちのお母さんだよ。お母さんのいうことは、何でもきくものだからね。」
水女はこういって、じめ/\と暗っぽいところへ二人をすわらせました。
そして、兄さんの手には、
二人は、一生けんめいに、水女のお母さんにいいつけられた仕事に
うすのろ
小のろ
日がくれる
といって、二人の
そのうちに、日曜日になりました。水女は、朝からきれいに
二人の兄妹は、水女が出て行ったあと、そうっと、沼の中から逃げ出しました。おのおの手に紡錘と鉈をもって。そして、お家の方へむけて、走り出しました。水女は、すぐと二人の足音をききつけて、追い付いてきました。もう少しで追いつかれそうになりましたので、妹の手に持っていた紡錘を、ポンとうしろへ投げますと、一本の紡錘が、何千何万本とも知れぬ紡錘のむしろに変わって、地べた一めんにひろがりました。
水女も、これには弱ったと見えて、あっちへよろけ、こっちへよろけしながら、
おおいた
小いた
といいながら、やっとのことで、紡錘のむしろを
そこでこんどは、兄さんの手にもっていた鉈を、うしろへほうりつけました。すると、鉈は、たちまち、高い
水女はぬっと、立ちあがって、大きなこえで、
「
さよなら、
さよなら。」
といって、沼の方へかえって行きました。二人の兄妹は、手をとりあって、足なみそろえて、唱歌をうたいながら、やさしいお母さんの家へかえって行きました。